てんつなぎ vol.2 『島の野菜、椿油、塩を知ろう!!』

てんつなぎvol.2は『島の野菜、椿油、塩を知ろう!!』と題して、伊豆大島の特産である椿油、海塩、そして、農産物の生産現場を見学しました。
日々の作業や苦労話等、生産者さんの生の声を聞き、現場の現状を知る、有意義なツアーイベントとなりました。

島の農家さんを訪ねる

まずは、島で農業を営む篠崎さんの農園を訪ねました。
伊豆大島の農業は花き栽培が盛んで、篠崎さんもブバルディアを中心とした切り花等の栽培が中心ですが、野菜も数種類栽培されているそうです。今回はサツマイモとこどもピーマンを収穫させて頂きました。

まずはサツマイモから。篠崎さんにサツマイモの収穫方法をレクチャーして頂き、参加者みんなでサツマイモ堀りを楽しみました。シャベルで掘り起こすと沢山のサツマイモがザクザク顔を出し、こども達はもちろん、大人たちも大はしゃぎ!みんなで自然の恵みを体感しました。

次に収穫したのはこどもピーマン。ん、こどもピーマン?ピーマンのこども?名前は不思議な野菜ですが、お話を伺うとピーマンやパプリカとは形状が異なりやや小さめではありますが肉厚でジューシー、これまでにない新しいタイプのピーマンとのことでした。

収穫したこどもピーマンをひとかじりすると、一般的なピーマンとは異なり苦みは一切なく、とっても甘くてジューシー!栄養価も普通のピーマンより高く、お子さんでも苦手意識を持たずに食べられるそうです。そんなこどもピーマンをみんなで時折つまみ食いしながら、収穫を楽しみました

海塩生産者さんを見学

篠崎農園さんを後にして次に訪れたのが、製塩業を営む深層海塩の代表取締役、三間伊織さん。

深層海塩さんの塩の特徴は、火山島である伊豆大島の地下300mの水脈から汲み上げた地下水を使って作るところ。玄武岩質の溶岩を途方もなく長い年月をかけてくぐり抜けた地下海水を原料に塩を作っているのです。
三間さんはときにクイズを出題しながら塩の製造工程について説明してくれました。こどもも飽きずに楽しく理解できるよう工夫してくださり、興味を持って参加できました。

溶岩が積み上げられた姿が印象的な井戸小屋内に設置してある取水ポンプで、地下300mより玄武岩の地層を浸透した透明度の高い深層地下海水を汲み上げます。この井戸小屋、大島の象徴でもある三原山の噴火をイメージしており、前回噴火したときの溶岩を用いて作られているそうです。

汲み上げられた深層地下海水を味見すると、思いのほかしょっぱくなく、まろやかで味わい深い、これだけで十分美味しいとい思えるものでした。
汲み上げた深層地下海水を太陽の熱と海からの風を利用し、濃縮棟で海水中の水分を循環蒸発させます。これにより海水が濃くなり次の工程での時間が短縮できるそうです。

濃縮棟にて濃くなった深層地下海水を塩の結晶ができるまで、約100℃の熱をかけて海水中の水分を蒸発させます。塩の結晶が釜の表面に見えはじめれば温度を下げ、一昼夜じっくりと結晶させ仕上げていきます。24時間以上蒸気釜を使って熱するため、膨大な光熱費がかかるそうです。

できあがった塩は蒸気釜から採塩槽へ移し冷まします。遠心分離機(脱水機)で、塩とにがりを分離させます。あまり脱水を強くすると「塩辛さ」が目立つので、適度ににがり分を残すことがコツなのだそう。

こうして手塩にかけ「深層海塩ハマネ」はできあがります。
完成した塩をみんなで試食。単に塩辛いだけでなく、まろやかな旨みや甘み、そしてほんのり苦味が広がります。あらゆる料理を引き立てる美味しい塩が伊豆大島で作られていることにみなさん改めて感心されたのではないでしょうか。

椿油生産者さんへ

さて、最後に訪れた生産者さんは昔ながらの製法で椿油を搾る高田製油所の四代目、高田義土さん。

工場に入ると年季の入った機械達が堂々と鎮座しています。これは椿油を搾るための搾油機で、なんと、明治時代から使われているそう!「玉締め圧搾法」という、昔ながらの製法で搾る高田製油所さんこだわりの機械です。

高田さんは昔の製造工程を紹介するイラストのパネルを見せながら、椿の実の収穫から搾油までの工程をお話してくださいました。普段から観光客相手に説明されているそうで、とても分かりやすい丁寧な説明にみなさん熱心に聞き入ってました。

最後はつばきッチン♪

懇親会ではつばきッチンによる椿油と塩と地物野菜を使った食事を用意しました。今回は伊豆大島の宿泊施設等で提供されている椿油のオイルフォンデュと、つばきッチン特製ドレッシングをかけた地物野菜のサラダ、そして、サツマイモのてりこ(古来種)のヴィシソワーズをいただきました。

オイルフォンデュは、明日葉やサツマイモなどの地物野菜を椿油でからっと揚げ塩を振って食べました。まさに今日巡ってきた生産者さんが作ったものを最後に美味しくいただきました。全身で地産地消を体感する。これはなかなか素敵な体験でした。

本物の暮らしを知る

その地ならではのモノ、その地でしか作れないモノをつくるヒトにお会いして、お話を伺うことでその土地の本物の暮らしを垣間見れたのではないかと思います。今回のツアーイベントは今の大島でしか体験し得ないものです。その土地のモノをその土地でいただくという、シンプルではあるけれどまさに“本物”の資源を知り、味わい、さらに学ぶことで、私たちの地域が今まで以上に魅力的で大切に感じられたのは、貴重な経験だったのではないかと思います。

Copyright © kichi All Rights Reserved.

Page Top