てんつなぎvol.3では、小田原市内の商店街にあった元中華料理店の空き店舗をセルフリノベーションしたシェアスペース『旧三福(93puku)』を立ち上げた山居さんお招きして地域に根づく場所づくりのあり方を学びました。
山居さんは大学卒業後、東京都内の企業、小田原市役所勤務を経て、東京で広告・企画の会社を創業。その後フリーとなり旧三福不動産を設立されます。今回はちょうど不動産事業をはじめられる準備段階での伊豆大島来島となりました。
小田原市は東京から車で約1時間、新幹線なら35分と、アクセスは十分な上、箱根までは車で15分と有名観光地にも程近く、小田原自体も海・山があり、小田原城で知られる北条氏の歴史もあります。環境的に恵まれた場所といえるでしょう。人口は約20万人で伊豆大島の人口とは比べ物にならないほど大きなまちですが、そんな小田原市でも毎年数百人ずつ減少しているそうです。小田原には約30の商店街があり、小田原駅周辺だけでも21の商店街が軒を連ねています。
「旧三福」は好きなことをカタチにしていきたい人、表現したい人たちが、それぞれイベントや活動をしたり、コラボレーションすることで新たな価値を提供していくスペース。
小田原市内の商店街にあった元中華料理店の空き店舗を仲間達とセルフリノベーションして立ち上げたシェアスペースです。
そんな場所を立ち上げるベースとなったのが、月に一度のペースで開催していた“オダワラブ”という集まり。毎月第二水曜日に小田原市内の飲食店等に集まって、その日集まった人たちとお酒を飲みながら、その日のテーマに沿った会話を繰り広げる、というもの。
そもそも“オダワラブ”をはじめたのは小田原が好きな人たちが集まって、お酒を飲みながらいろいろなテーマでワールドカフェを展開することで、いわゆる“偉い人”によるまちづくりではなく、地元愛のある“普通の人”が、等身大で考えるきっかけをつくり、小田原暮らしを楽しんでいる人の繫がりを広げる、という目的があったから。
そんな“オダワラブ”を山居さんは3年間も続けたことにより、“オダワラブ”がイベント的側面から日常的側面へとシフトするとともに、“場”の重要性を参加者が認識しはじめていったようです。そんな状況の中、空き店舗が見つかり、山居さん自身が小田原にも仕事場を持ちたいと考えていたのと、好きなことをカタチにしていきたい人たちが活動できる場所にできたらという思いが重なって旧三福が生まれました。
旧三福では、1年を通じてさまざまなジャンルのイベントが数多く開催されており、イベントを通じて小田原に暮らす人々の日常を楽しくするような活動が多く生まれています。また、特定の人がイベントを企画するのではなく、いろいろな人が企画を持ち込んでくる点も注目です。
そんな旧三福は、平日の昼間はコワーキングスペースとして、夜と週末は教室、イベントスペース、ライブラリー、バーなど、時間や関わる人によって多種多彩に表情を変え、沢山のアイデアや出会いが生まれる場となっています。
多種多様なテーマで活動する人たちが集まり、互いに刺激し合い、得意わざを重ねあわせながら、小田原と周辺地域にクリエイティブで楽しいイノベーションを起こすこと。結果、自分らしいライフスタイルを築くことを目指しています。
“オダワラブ”からはじまり、旧三福というシェアスペースを立ち上げた山居さんが次に手がけること、それは“イベントから日常へ”、“点を面に広げる”といったコンセプトの延長線上ともいえる『不動産+リノベーション』事業です。
今は壊して立てる時代ではなく、直して活かす時代。空き家・空き店舗など増えつつある遊休不動産を有効活用し、新たなチャレンジをする人を増やしたい。そんな思いで2015年3月1日の開業を目指して絶賛活動中とのこと(平成27年2月8日時点)。
“オダワラブ”からはじまった山居さんの取り組み、“このまちの日常をハッピーにしたい”という共通目的を持った仲間が集まり繫がりながら、着実に地域に根づく場所を広げ続けています。そして、新たに不動産事業にも取り組み始めるという山居さんはまさに“地域に根づく場所”を生み出す人でした。
都内の企業、小田原市役所勤務を経て、企画・デザインの会社を設立。小田原をもっと楽しくするアイデアを、お酒を飲みつつ楽しみながら考える「オダワラブ」というイベントを主宰。シェアスペース「旧三福(93puku)」運営代表。株式会社旧三福不動産共同代表。
シェアスペース『旧三福』:http://93puku.jp/
株式会社旧三福不動産:http://93estate.com/