島レモン農家を訪ねて

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サウンドエンジニアから農家へ

伊豆大島で農業を営む金森三夫さんは、今から約10年前にお父様の畑を引き継ぐため出身地である伊豆大島に戻って来ました。

金森さんはフリーのサウンドエンジニアとして、CMの音源制作や著名人のインタビュー録音等、第一線でご活躍されていました。
そんな一流の技術者が突如として農業に取り組むことに。まったくの畑違いに戸惑い等はなかったのでしょうか?

「幼い頃から父の畑によく足を運び、父の仕事を見てきましたし、ある程度の年代になると手伝うこともあったので、戸惑い等はほとんどなかったですね。」と金森さん。

島の農業が今よりもまだまだ盛んだった頃、キヌサヤは全国的に珍しく、また良質のものが収穫できるため、高く取引できる高級品でした。

金森さんのお父さんもそんなキヌサヤを主に栽培しており、それを受け継いでしばらくは過ごしていたそうです。

広い業界の中でご活躍されていたこともあり、さまざまな分野のお知り合いがいらっしゃる金森さん。自身のUターンをきっかけに多くの知人や友人が伊豆大島を訪れたそうです。

そんな中ある日、知人から「レモンを栽培してみたらどうか?」と提案を受けました。

ゼロからのレモン栽培

「彼は農林水産省の関係者で伊豆大島で毎年開催されるトライアスロン大会に出場するためによく来島していました。なので、島の気候を肌で感じていて、直感的にレモン栽培が適していると感じていたのでしょうね。」

レモンの栽培を始めて最初に苦労したのは、島特有の強い季節風。レモンの茎には棘がある為、風が強く吹くとレモンが自身を傷つけてしまい、病気や品質低下の原因になっていました。

そこで、金森さんは少しでも風の影響を和らげようと、畑の周囲に防風ネットを張るなど対策を施しています。栽培方法については、農業改良普及センターの指導員に相談したり、資料を取り寄せたりしながら、自己流で取り組みを重ね、試行錯誤を繰り返しながら育ててきたそうです。

実りはじめた取り組み

そんな金森さんの努力がようやく報われつつあります。レモンの栽培を始めて10年目にしてようやく商品として出荷できる状況になってきたのです。

今では、11月頃の収穫の時期には島内の農産物直売所「ぶらっとハウス」に出荷できるようになりました。店頭に並ぶやいなや即完売となる人気商品となっています。

次の世代へ

あきらめずに地道にレモン栽培に取り組んできた金森さん。次なるステップは島に暮らす若者たちへレモンの栽培ノウハウを伝えていき、少しでもレモンを栽培する農家を増やしていくこと。

自身が苦労して取り組んできた技術を惜しげもなく後世に伝える。それは、みんなが元気に暮らせる活気ある島になって欲しいという金森さんの願いなのです。

Data

金森三夫さん
レモン農家
※フリーペーパー「12class」第24号掲載記事より

Tsutomu Chiba writer
Tsutomu Chiba
 

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