大島椿炭プロジェクトについて

Category Living

Introduction

こんにちは!私は東京工業大学博士課程 1 年の平井雄之と申します。

私は現在、東京工業大学、一橋大学の大学院過程の学生のためのプログラム、グローバルリーダー教育院(AGL)の活動の一環で生まれたプロジェクトに取り組んでいます。

今回は、私たちメンバーが伊豆大島で取り組んでいる「大島椿炭プロジェクト」についてご紹介します。

当プロジェクトは「社会の課題を解決する」というミッションの中、「地方創生」というキーワードをテーマに掲げて動き出しました。

なぜ伊豆大島なのか?

ではなぜプロジェクトの舞台を伊豆大島に設定したのか?

それは私が高校時代、硬式野球部の一員として合宿で伊豆大島を訪れたことがあり、その時の記憶が頭の片隅にあり、なんとなく伊豆大島を選んだのがきっかけです。

伊豆大島ではたくさんの人に出会いました。島中を巡っていろいろなものを見ました。裏砂漠や波浮の港、椿園など伊豆大島の魅力は想像以上のものでした。

そんな素敵な島ですが、そこに暮らす人はどんどん減ってしまっています。伊豆大島の人たちは島の魅力に気づいていないのでしょうか!?

いいえ、そんなことはないようです。

島の兄貴的存在,渡口航さんは「生まれ育った海と山が好きで島に戻ってきた」と言っていました。伊豆大島に暮らしている人は伊豆大島の魅力をたくさん話してくれます。

ではなぜ人が減っているのか。

それは、単純に「仕事がない」からです。

では仕事を作ろう。
これが大島椿炭プロジェクトをスタートさせるきっかけでした。

プロジェクトが目指すビジョン

私たちが取り組むプロジェクトのビジョンは

「伊豆大島に産業を整備し、伊豆大島に(戻って)来たい人の仕事の機会を作る」

ことです。

伊豆大島が好きで、伊豆大島に戻ってきたい人、伊豆大島に移り住みたい人が安心して、楽しく伊豆大島で生活できるような仕事の機会を新たに作っていきたいのです。
そこで私たちが考えたのが「大島椿炭プロジェクト」でした。

なぜ炭なのか?

では、なぜ炭なのか?
伊豆大島は 300 万本の椿が自生しているといわれる椿の島です。島では昔から椿の炭が作られてきました。

かつては幕府に納められていたほど高級な炭として、その価値が認められていたものでした。

現在はどうなのか?

伊豆大島の椿炭を取り扱っている事業者さんなどにお話を伺うと、「今は椿炭を作る人が減ってしまっており,島外からも注文が入るが安定供給できないためお断りしている状況です。」とのことでした。

お客さんがいるなら仕事になるのでは?
いや、でも、炭の商売なんて過去のものなのでは?

と、半信半疑でしたが,まずは現在も炭の製造事業をやっている和歌山,土佐に調査の為に向かいました。

そこでインタビューを重ねるうちに実にさまざまな発見がありました。ざっくりあげると、

  1. 炭市場は供給不足。欲しい人がいっぱいいるということ。
  2. 炭は人の活動と環境とが結びついて行われる産業であること。

炭は様々な形で使われていますが、燃料用の炭としては,焼き鳥屋などの飲食店、バーベキューなどの娯楽用などに使われます。自分たちの想像している以上に炭を欲しがっている人が沢山いることを知り、炭を使う場面、使う人をよく考えればもっと炭を活かせる場面が作れるのではないかと思っています。

炭を作るのに必要な原料は「木」です。椿炭の場合はもちろん「椿の木」です。つまり、炭産業は環境との共生、森の整備なしには成り立たない産業なのです。土佐でも和歌山でも森ありきという話をされていました。木は空気中の二酸化炭素を吸って、太陽の光を浴びてどんどん大きくなります。いわば自然に作り続けられるエネルギー源です。

これを自然の成長サイクルを乱すことなく利用させてもらうことで、自然と社会との両立が達成されます。さらに言えば伊豆大島でジャングル化しているヤブツバキの森や林を炭産業の整備によって手入れをすることができると考えています。

取り組むこと

今私たちが取り組んでいる課題は

  1. 伊豆大島の炭焼き技術、炭焼き設備の伝承
  2. 今の人たちが「欲しい」と感じる炭製品の検討・設定
  3. 伊豆大島の椿炭のニーズの検証、販路の開拓

です。

伊豆大島にいる炭焼き業をされている方たちともこれまで色々と情報の交換や共有を行ってまいりました。炭焼きを引退されて、設備を貸しても良いという方にもお会いしました。
これらの技術、設備を伊豆大島の次の炭焼き世代に引き継ぐことが一つ目の課題です。伊豆大島に伝わった炭焼きの技術、文化は島にとっての大切な魅力の一つだと私たちは考えています。

次に、人々が求めるニーズに合致する炭製品の検討です。
時代とともに“もの”に対する需要は変わってきていると思います。そして、“もの”はもちろん、今は“体験”に対する需要も高まってきていると思います。

大島椿炭を通して多くの人が伊豆大島の魅力に触れて幸せになれるような製品や体験を考えていきたいと考えています。

これらを進めていき、商品として売れるかを検証します。商品が売れる具体的な筋書きが描ければ事業化はかなり近いところまで来ます。売る過程を通して島の人たちと事業へ向けて進み出せると思います。そして、究極的には伊豆大島の椿炭のブランド化を目指したいです。

さいごに

簡単ですが、私たちのプロジェクトに対する思いや今の状況をまとめてみました。今後もプロジェクトを進めていくにあたって、想像以上に大きな壁や問題にぶち当たるかもしれません。だけど、このワクワクする気持ちがあれば乗り越えられるのでは、と前向きに構えながら、引き続き大島の椿炭の産業化に向けて取り組んでいきたいと思います。

興味のある方、ぜひご連絡ください。一緒に取り組んでいきましょう!

Data

メンバー 平井雄之 ハンチャヒ 吉木均 宮崎航平 甲斐康平
(グローバルリーダー教育院(AGL))

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平井雄之

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