“何もない" が、ある。
－－もともと、そこにあることが普通で、そもそも、あることすら気づかないような魅力的な情景が、たしかにあります。

もっと近寄ってみたら気付く新たな一面や体験してはじめて得られる発見は、実は身近にいつも存在しています。日々の喧騒から離れて、島時間のゆったりとした時の流れに身を任せてみると、その大切さにはっとさせられます。火山島である伊豆大島では、三原山を" 御神火"( ごじんか) といって神聖な山として崇め、共存してきました。御神火とそこに暮らす人たちが創り出した、雄大であり繊細でもある光景が伊豆大島には広がっています。

今回2017 年11 月11 日から二日間に渡り開催した伊豆大島写真展「キリトル」では、わたしたちそれぞれの" 五感" で感じた伊豆大島の見落としがちな美しい景色や瞬間、空気感を写真で切り取って持ち帰ってきました。来場者の皆様の五感で少しでも伊豆大島の情景を感じていただけたらと企画しました。

"24hours a day, 7days a week”

24 時間/週７日を意味していて「四六時中、絶え間なく続く」という意味です。

2016年5月に、昭和女子大学 環境デザイン学科で有志グループ"24/7" を結成しました。24/7 というワードをわたしたちはずっと続く日常や、将来記憶になる写真の永遠性を想起させるワードとしてとらえました。伊豆大島の" 日常" のカケラを写真で紹介したい、そんなイメージで活動が始まりました。

今回の写真展「キリトル」では伊豆大島のナチュラルで柔らかい自然光を会場で再現するために、㈱カネカさま、パイオニア㈱さま、菜インテリアスタイリングさまから有機EL 照明（OLED）のご協力をいただき実現しました。

軽くて薄い有機EL 照明（OLED）をフィルムに貼り付け天井から吊り下げたり、海岸から拾ってきた石や砂の色を“伊豆大島で見たままの色” に近づけるためにライトアップBOX を作ったり…また特徴的な発光面のスクエア形状を展示テーマ「キリトル」と関連付けることでより魅せる展示になったと思います。

色･･･伊豆大島を「彩り」という角度で切り取ってみようと考え、光の三原色、赤・緑・青に分類してコラージュにまとめました。今まで気にも止めなかったような所に色が落ちていたり、自然がこんなにも鮮やかで美しいということにはっとさせられます。

音･･･伊豆大島で実際に録音してきた「音」を写真と合わせてヘッドホンで聞いてもらうという体験型ブースを考えました。まるでその場にいるみたいな気分を味わえたという声が多く、来場者アンケートで最も人気票を獲得したブースでした。

匂･･･牛乳せんべい、明日葉、くさやを匂いのテスターで体験してもらうというこちらのブースも盛り上がりました。中でもくさやの匂いは初めてのトライの人が多く、貴重な経験になった、思ったより臭くなかったのでくさやを食べて見たいと思ったという感想もいただきました。

触･･･伊豆大島で見つけた素敵な石のテクスチャをぜひ見て触ってみて欲しいという想いからこのブースを考えました。

島内の場所によって全く違った表情を持っています。ゴツゴツした溶岩が特徴のビーチや波に削られて丸くなった溶岩が多いビーチ、細かい砂の粒のビーチ、真っ赤な岩肌が特徴的な赤っぱげ…などなど。御神火が生み出した多様な表情を楽しむことができます。

形･･･○、△、□という新しい視点で写真をカテゴライズしてより直感的に視覚に訴えかけるブースを考えました。伊豆大島らしい○、△、□と、そこにあるその形の意味や思い出、ストーリーをキャプションで展示しました。

ステッカー･･･「キリトル」というテーマに沿って最後に来場者に好きなテクスチャを“切り取って” 持って帰ってもらうというステッカーを作りました。また会場アンケートにご協力いただいた方に伊豆大島の海洋深層水を使ったキャンディをプレゼントしました。味覚でも伊豆大島を少しだけ感じてもらうことができたと思います。

伊豆大島を既に知っている人も、いま初めて知った人も、ぜひ実際に伊豆大島へ足を運んでみてください。伊豆大島に住んでいる人も、行ったことある人も伊豆大島を五感で思い切り感じて見てください。きっと『" 何もない" がある。』の意味が分かるはずです。

主催: 昭和女子大学 環境デザイン学科 24/7

湊 七海 齊藤陽菜 白井杏奈 内藤彩 黒沼栞 松崎梨紗 松本朱羽 三池きよみ 山崎楓

協力(五十音順): 株式会社カネカ / 株式会社菜インテリアスタイリング / パイオニア株式会社

writer（Guest）
24/7