みんなで楽しいおイモ掘り
島の秋の楽しみのひとつ『サツマイモ掘り』
伊豆大島は過去に噴火を何度も繰り返し、今も活動を続ける火山島。
そんな島の火山灰土壌がサツマイモをおいしく育ててくれるため、島ではよく栽培されています。
晴天の気持ちの良い朝、子供たちは元気に家を飛び出し、焼き芋パーティに合わせてサツマイモを掘るじいじのお手伝いに畑へ出かけました。
畑に到着すると、サツマイモを掘りやすくするため、じいじが芋づるを採っていました。これがなかなかの重労働。
「がんばれじいじ!」と子供たちが応援します。
芋づるを採り、さっそくサツマイモを掘り起こします。
「さて、今年の出来栄えはどうだろう?」
サツマイモを傷つけないように、畝の左右からショベルを入れてすくいあげます。すると、サツマイモがザックザックと姿をあらわしました。
「さぁ、みんなで収穫だぁ!」
どんどん掘り出されるサツマイモに皆のテンションが上がります。特に大きいサイズを取り上げたときは大興奮!
みんなが収穫を楽しんでいる間に、じいじは焚火に火をつけて焼き芋の準備に取り掛かります。
ばあばは収穫されたサツマイモに湿らせた新聞紙を巻いて、その上からアルミホイルで包む、焼き芋の仕込みに入りました。
子供たちもサツマイモを掘るのに飽きたのか、今度はばあばのお手伝い。
「さぁ、火がついた!サツマイモを入れていくよ~」
どんどんアルミホイルでくるまれたサツマイモたちが焚火の中に入れられていきます。
「おいしくできるかなぁ。楽しみだね!」
焼き芋が焼けるのを待つあいだ、子供たちは畑の周辺に落ちてた竹を使って基地づくり。
「あぁ、小さいころはこんな感じで自分の拠点をつくるのが楽しくって興奮してたっけ。」
屋根もつけてプライベート感を出したりすると、自分だけの空間ができてより特別な場所になってワクワクした気持ちを思い出しました。
今も昔も子供の心は変わりません(笑)
さて、第一陣の焼き芋が焼けました。
ホックホクの湯気にのって甘~く香ばしいおいしそうな香りがあたりに漂います。
まずはそのままアツアツの焼き芋を食べてみる、待ちきれず皮ごとガブリ。ホクホクで甘みのあるサツマイモの味にほっこり温まります。
次は、大島バターをのせて食べてみる。サツマイモの甘味にバターのコクが加わって抜群においしい!
たまに鮮やかな紫色をした紫イモもまざっていて、味比べしながら楽しく頂きました。
採れたてをみんなで外で食べる幸せ、子供たちがおいしく食べる姿を見て、「また来年もおいしいサツマイモを作ろう!」と心に決めたじいじなのでした。
島の実りの秋、楽しみました。
幻のサツマイモ『てりこ』
天留古(てりこ)は元は大分県出身の粟本佐次郎という人がはじめに苗を持ち込み、島内に広まったというサツマイモの品種。「日照りにも長雨にも強く、その上大変滋味に富みよくできる」と彼の徳をたたえる碑が福聚寺(岡田)にあります。佐次郎は漁で大島に来て結婚し、数年後に豊後で栽培していた天留古を持ってきたところ、美味豊産のためたちまち島中に広まったそうです。テリコは、美味・豊産・作りやすいと三拍子揃っていたので、どこの家でもテリコを主に作っていたそうです。他のサツマイモと違って、翌春から夏まで味が落ちる事がなく、また寒さや長雨にも強く貯蔵が楽で乾燥にも強いので、島の痩せた砂地には適していました。