大島イイもの展-自然と向き合いよりそう島のくらし-を開催しました

時代を経て伝えられてきたものや、その土地の暮らしに利用され、根づいてきたもの、その土地の未来を予感させるもの...

伊豆大島でつくられたものや、伊豆大島にゆかりのある作品を集め、それらをつくり上げたつくり手のストーリーとともに展示する『大島イイもの展-自然と向き合い よりそう島のくらしー』を平成28年2月6日(土)にアーツ千代田3331にて開催しました。

※開催概要や出展に関する詳細については開催案内のページをご覧ください

1日限りの展示イベント

今回のイベントは開催期間1日だけの展示イベントということで、準備から片付けまですべて当日で完了させる必要がありました。その為、事前に何度もメンバーと打ち合わせを重ねながらタイムスケジュールを練り上げました。

当日の準備では2012年以降、伊豆大島で毎年夏にワークショップを行っている建築系学生からなるユニット「夏ゼミ」のOBの皆さんが手伝ってくれたこともあり、懸念していた会場準備については開場時間までになんとか完了させることができました。


展示内容について

特産品の展示

「大島イイもの展」ということで、会場内には“くさや”や“明日葉”など、伊豆大島の主な特産品を展示しました。写真や映像ではなく実物を見てほしいので、真空パックにして天井より吊り下げて展示しました。また、来場者には展示品を紹介した「大島イイもの」冊子を配布しました。


作家作品の展示

ただいまの場所-島の家族(写真家 佐久間ナオヒトによる写真展)

島内に在住する30代の家族を写すことで、今の島の若者像を伝えるとともに、彼らに島の生活の中で思うことや島の未来についてインタビューしたテキストを添えた写真家 佐久間ナオヒトさんによる写真展。

災害を乗り越え、つながる(アーティストやクリエーターによる復興支援作品の展示)


2013年10月16日未明に発生した台風26号集中豪雨による土砂災害で被災したホテル椿園の敷地に残っていた椿の花を摘み取り、椿の花と書を組み合わせたアーティストの佐々木久枝さんによる作品や、同じく土砂災害の復興支援の一環として取り組んだチャリティーカレンダーのイラストを制作した青木賢吾さんの作品を展示しました。


トークイベント

清水勝子さんによる災害体験から得た“未来への心構え”

平成25年10月16日未明に発生した台風26号による土砂災害で大きな被害を受けたホテル椿園、その女将である清水勝子さんによる災害体験から得た貴重なお話。実際に被災された方のリアルな体験談に皆さん真剣に聞き入っていました。清水さんのお話は“未来への心構え”として我々が日ごろ意識すべきことを教えてくれました。


「創作活動と島ぐらし」

先日完成したばかりの伊豆大島を舞台とした映画『恋はフェリーに乗って』の高野監督と、海外を扱ったドキュメンタリー映像を中心に活躍する伊豆大島在住の映像作家で、最近では島内外の様々な人とコミュニケーションがとりたいと、島で珈琲の移動販売もはじめたキム・スンヨンさんによるトークセッションが行われました。

伊豆大島での暮らしについて、キムさんならではのユニークな視点から得た等身大のお話に対して、素直に感心を示す高野監督。そんなお二人の様子に会場内は終始穏やかなムードに包まれました。また、実際に島に暮らす私たちですら気づかなかった“気づき”を多く得ることの出来たトークセッションとなりました。


創作島料理

“つばきッチン”による島の旬な食材を使ったお料理

伊豆大島の食材を使ったオリジナル料理をイベント等で提供している“つばきッチン”古屋シェフによる島の旬な食材を使ったお料理。
一品一品が可愛らしく、どれもとても手の込んだ一品。会場を訪れた多くの方を魅了しました。


椿彫りあんこ人形ストラップを作ろう!

「あんこ」とは大島のことばで「姉・年上の女性」のことで、椿とともに伊豆大島の代名詞となっています。そんなあんこさんを椿彫りにした人形にペインティングして、自分だけのオリジナルストラップをつくりました。


BGMは島の自然の音

『海の詩』と『山の詩』と名づけられた臨場感溢れる環境音

会場内にはBGMとしてM.K.サウンドによる「海の詩」と「山の詩」と名づけられた伊豆大島の海と山の自然の音を流しました。3台の超単一指向性ガンマイクを駆使して録音された環境音です。制作者は元サウンドエンジニアで10年前に大島にUターン、現在は農業を営んでいます。

展示構成について

私たちが暮らす伊豆大島の今をリアル且つ前向きな視点で丁寧に表現したいと考え、イメージをふくらませていきました。

空間設計に関しては、「夏ゼミ」OBである阿部さん、杉本さんが中心となり進めました。

展示のイメージとしては、伊豆大島が離島という地理的特徴から、内外からの影響を多く受けながら文化・風習が変化・発展してきた歴史があり、今後も様々な影響を受けて変化しながら未来へと続いていくのだろうと考え、ゆらぎながら、少しずつ変化しながら、動いていくようなイメージで展示構成を考えていきました。


具体的には展示物を天井より吊ることで、ゆらぎや変化を空気の流れに任せて揺れる展示品で表現し、人と展示の動きの移ろいが緩やかに関係し合う空間としています。また、会場内のホワイトボードには“地元”、“くらし”、“おおしま”、“ひと”、“しごと”、“あそび”といったキーワードを掲示し、来場頂いた方に自由にそれぞれが感じることを記していただくような仕掛けを設けました。

今回の展示イベントをつうじて

ご存知のとおり、日本全国さまざまな地域で過疎化・少子高齢化といった社会課題がますます多様化・複雑化しており、伊豆大島においても同様、様々な地域課題を抱えています。

そんな現状に呆然と立ち尽くすのではなく、前向きに頑張っている人々の“想い”や“願い”、そこから生まれた“もの”たちを集めて丁寧に伝えていくことで、地域における“前向きな未来”へのヒントを見出したい。今回の展示に限らず引き続き取り組んでいくべきプロジェクトであると考えています。

今後もこの土地で暮らし続けていくためにも。

〔主催〕東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NPO法人kichi

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